ベトナムの
工業団地事情
文/齊藤公
第6回「ベトナムの工業不動産市場」
ベトナム計画投資省の発表による2022年のベトナムにおける工業不動産市場のアップデート情報をお届けしたい:
- 2022年末までの計画承認済み工業団地
- 設立済み: 411ヵ所(南部:42%、北部:36%、中部:22%)
- 補償、用地接収中:152ヵ所
- 合計: 563ヵ所
- 工業団地のタイプ(2022年末現在)
- 土地譲渡: 47%
- レンタル工場・倉庫:53% ★2021年度は土地譲渡が51%
- 工業団地の入居率
- 北部: 83%
- 南部: 84%
- 全国平均:70.9%
- 南部のホーチミン市、ビンズオン省、ドンナイ省では工業団地の空き用地が残りわずかで、土地を購入して自社工場を建設するのは困難であるが、レンタル工場・倉庫は大手のデベロッパーの開発が進んでいるので、現在建設中の物件も多く選択の余地がある。
- 南部のレンタル工場は数百㎡の小さなユニットを用意している工業団地もあるが、北部は1,500㎡~2,000㎡以上の大型のユニットが一般的である。
- 工業団地の土地価格
- 北部:大手の外資系デベロッパーが新規に開発している工業団地でもUSD130~140/㎡という価格帯でUSD200/㎡を超える工業団地はほぼ無い。
- 南部:ホーチミン市近郊のドンナイ省、ビンズオン省、ロンアン省などの工業団地の土地価格は軒並みUSD200~300/㎡という価格帯で、北部の倍程度になっている。
- ドンナイ省のA工業団地では、20年前の土地価格がUSD20/㎡であったが、現在はUSD200/㎡と10倍の価格になっている。
- ロンアン省のL工業団地は14年前の土地価格がUSD40/㎡であったが、現在はUSD260/㎡と6.5倍になっている。
- ⇒ 工業用地の価格は景気が後退しても下がることは無い。
- レンタル工場・倉庫の賃料:
- 外資系企業向けのインフラが整った工業団地は、北部・南部共にUSD5.00~6.00/㎡が標準的な価格になる。
齊藤公(さいとうひろし)
Business Advisor
G.A. Consultants Vietnam Co., Ltd
大学卒業後に PHP 研究所に入社し、同社ニュー ヨーク事務所長を務めた後、中部日本放送(CBC) の関連会社で「名古屋港再開発プロジェクト」を 担当。その後拠点をアジアに移し、シンガポールで 「FM96.3」の開局や、ベトナムで「ハローベトナ ム」・「インベストアジア」の創刊を手掛け、ベトナム 最大規模のレンタル工場開発会社(BW Industrial Development JSC)で日系製造業の誘致を担当後、 現在はベトナム最古参の日系人事コンサルタント会社 「G.A. Consultants」にて、日系企業の進出コンサ ルタントとして活動。