ベトナムの
工業団地事情
文/齊藤公
第34回 FDI (外国直接投資) 受け入れに熱心な都市_ダナン(Da Nang)市
製造業がベトナムに進出する際に、どの地域の工業団地を選択するかは重要なポイントとなるが、地域を挙げてFDIの受け入れに熱心に取り組んでいる省や市があるので、その例をいくつかご紹介したい。今回は中部に位置する国内第3の都市で、ハイテクパークで有名なダナン市の状況をご紹介する。
1.ロケーション/面積/人口
ダナン市はベトナム中部に位置する国内第3の都市で、中央直轄都市である。面積は1,285㎢で人口は約122万人である。
2.ダナン市の工業団地
現在ダナン市には8カ所の工業団地:
①拡張ホアカイン工業団地、
②フォンディエン工業団地、
③ホアカイン工業団地、
④ダナン水産物サービス工業団地、
⑤ホアカム工業団地、
⑥ダナンハイテクパーク、
⑦ダナンインフォメーションテクノロジーパーク、
⑧ダナン工業団地がある。
3.ダナン市の特徴
ダナン市はティエンサ港が終点である東西経済回廊 (EWEC) を通じて、ラオス、カンボジア、タイ、ミャンマーと陸路で接続することができる。そのためダナン市は、グローバル生産およびサプライチェーンのネットワークに不可欠な地域である。 また、ダナン市は3 つの有名な世界文化遺産(フエの古都、ホイアンの古都、ミーソン聖域)の中心であり、世界的にも有数な観光都市でもある。
4.進出している日系企業
ダナン市に進出している主な日系企業としては、マブチモーター(ホアカイン工業団地)、郵船ロジスティクス(拡張ホアカイン工業団地)などがある。
5.生活環境
1)住宅事情
ダナン市内には多くのサービスアパートやコンドミニアムがあり、国内有数の観光地だけに部屋からの眺めは抜群。
2)レストラン&買い物事情
多くの日本食レストランや日本人が経営する大人気のハンバーガーショップや中華料理店もあり、レストラン探しには困らない。また、イオンモールの出店も決定しているので、日本人駐在員にとっては益々便利になりそうだ。
6.まとめ
ベトナム国内でハイテク特区と呼ばれる工業団地は3ヵ所のみで、その1ヵ所であるダナンハイテクパークに入居すると、優遇措置を受けることができる。
但し、「ハイテク」として認知された企業のみ入居が許される。レンタル工場・倉庫の賃料はハノイ周辺やホーチミン周辺の工業団地と比較すると30%程度割安になるので、ハイテク関連企業には一押しの地域だ。また、上述のように東西経済回廊を通じて周辺諸国と陸路で物資の輸送が可能なため、サプライチェーンの拠点としても適している地域である。
齊藤公(さいとうひろし)
Business Advisor
G.A. Consultants Vietnam Co., Ltd
大学卒業後に PHP 研究所に入社し、同社ニュー ヨーク事務所長を務めた後、中部日本放送(CBC) の関連会社で「名古屋港再開発プロジェクト」を 担当。その後拠点をアジアに移し、シンガポールで 「FM96.3」の開局や、ベトナムで「ハローベトナ ム」・「インベストアジア」の創刊を手掛け、ベトナム 最大規模のレンタル工場開発会社(BW Industrial Development JSC)で日系製造業の誘致を担当後、 現在はベトナム最古参の日系人事コンサルタント会社 「G.A. Consultants」にて、日系企業の進出コンサ ルタントとして活動。