ベトナムの

工業団地事情

文/齊藤公

第32回 FDI(外国直接投資)受け入れに熱心な都市_ハイフォン市

今回は特別優遇税制が適用されている北部の港町ハイフォン市の状況をご紹介する。

1.ロケーション/面積/人口

ハイフォン市は紅海の河口に位置し、ハノイから約102km東に位置する。面積は1,523k㎡、人口は約209万人で、ホーチミン、ハノイに次ぐ規模である。

赤い部分がハイフォン市

2.ハイフォンの工業団地

現在ハイフォン市には10の工業団地:①ディープC(Deep C)工業団地、②野村ハイフォン(Nomura Hai Phong)工業団地、③ブイシップハイフォン(VSIP Hai Phong)工業団地、④チャンヅェ(Trang Due)工業団地、⑤ナムカウキエン(Nam Cau Kien)工業団地、⑥ドーソン‐ハイフォン(Do Son‐Hai Phong)工業団地、⑦アンズオン(An Duong)工業団地、⑧ナムディンブー(Nam Dinh Vu)工業団地、⑨ビナシン‐シネック(Vinashin‐Shinec)工業団地、⑩チャンカット(Trang Cat)工業団地がある。

BW Indusrialが運営するVSIPハイフォン内のレンタル工場

3.ハイフォン市の特徴

ハイフォン市はハノイ市、ホーチミン市と並ぶ中央政府直轄都市で、ベトナム北部最大の港湾都市である。またハイフォン港はサイゴン港と並ぶ国内最大規模の港で、現在東南アジア、東アジアの各国への直行便を展開している。市内にあるカットビ(Cat Bi)国際空港は国際線としてはジェットスター・パシフィック航空(就航地:マカオ)、ベトジェットエア(就航地:バンコク)、東海空港(就航地:深セン・中国)、瑞麗航空(就航地:昆明・中国)が就航している。ハイフォン市に拠点を構える製造業には大きな特典があり、他の地区の工業団地では法人税が「2免4減」と言われ、法人設立後最初の2年間は法人税が免除され、それ以降の4年間は法人税が半額(通常20%が10%になる)であるが、ハイフォン市に限りそれが「4免9減」となり、最初の4年間は法人税が免除され、それ以降の9年間は法人税が半額となる。

ハイフォン港
カットビ国際空港

4.進出している日系製造&物流関連企業

ハイフォン市に進出している主な日系製造業としては、京セラ、富士ゼロックス、パロマ(VSIPハイフォン工業団地)、ブリジストン、日通、郵船ロジスティクス(Deep C工業団地)、コクヨ、矢崎総業(野村ハイフォン工業団地)などがある。

VSIPハイフォン工業団地内のKyocera Document Technology Vietnamの工場

5.生活環境

1)住宅事情:ハイフォン市には外国資本の工業団地(日本、ベルギー、シンガポール)が多くあるため、外国人向けのサービスアパートや戸建ての物件が多くあり選択の余地がある。また、ホテルニッコー・ハイフォンや東屋などの日本人向けのホテルもあるので、住居が見つかるまでの間に滞在できる日系のホテルもある。シンガポール資本のSomersetはハノイ、ホーチミンにもあり、外国人に人気のサービスアパートだ。

2)レストラン事情:ハイフォンにはまだそれほど多くの日本食レストランはないが、前述の日系ホテル内のレストランはコー・ハイフォン内)、「炭ぼうず」(東屋ハイフォン店内)などクオリティが高い。

3)買物事情:ハイフォンには2020年12月にイオンモールのベトナム6号店として 「イオンモール ハイフォン レチャン」がオープンし、190店舗を有するハイフォン市最大のショッピングモールで、イオンスーパーマーケットを始め、1階には世界的なブランド「CHARLES & KEITH」、「Clarks」、「LACOSTE」なども入店している。また、日本人経営の人気のビザレストラン「Pizza 4P’s」や「丸亀製麺」なども出店している。

Somerset Central TD Hai Phong City
東屋ハイフォン店
東屋ハイフォン店内にある焼き鳥店「炭ぼうず」
イオンモール ハイフォン レチャン店

6.まとめ

ハイフォン市は国内最大規模の港を有し、「4免9減」という特別税制が適用されているので、物流コストや法人税の節約ができるが、2017年にハイフォンに工場が設立されたVINFASTというベトナム初の国産車のブランドが、相場より高い賃金で大量のワーカーを採用したため、人件費の面では他の地域より相場が少し高くなってしまった。しかしながら、総合的に判断するとメリットの方が大きいため、既存の工業団地の拡張が進み、新規に進出する外資系企業が増え続けている。

齊藤公(さいとうひろし)

Business Advisor
G.A. Consultants Vietnam Co., Ltd

大学卒業後に PHP 研究所に入社し、同社ニュー ヨーク事務所長を務めた後、中部日本放送(CBC) の関連会社で「名古屋港再開発プロジェクト」を 担当。その後拠点をアジアに移し、シンガポールで 「FM96.3」の開局や、ベトナムで「ハローベトナ ム」・「インベストアジア」の創刊を手掛け、ベトナム 最大規模のレンタル工場開発会社(BW Industrial Development JSC)で日系製造業の誘致を担当後、 現在はベトナム最古参の日系人事コンサルタント会社 「G.A. Consultants」にて、日系企業の進出コンサ ルタントとして活動。