Viet Nam

工業団地の状況

Text by Saito Hiroshi

第39回 ベトナムの中央省庁再編について

2024年12月1日に開催されたベトナム共産党の全国会議で、政治・行政の効率化を目的に、2025年春の大規模な政治・行政機構の再編計画の検討が進んでいることが明らかになり、日系企業からは期待と懸念の双方の声があがっている。共産党や国家機関などの組織の見直しを進める方向性は、2017年の中央委員会決議18号(18/NQ-TW)で定められていたが、2024年秋ごろから、同決議に関する中央指導委員会を中心に、再編案策定の議論が加速した。組織の合理化・効率化を志向するトー・ラム書記長の意向が反映されたものとみられる。

見直し対象は、党機関や中央省庁、政府や国会の傘下機関など広範囲にわたる。政府やその関係機関については、2025年2月の臨時国会で新たな組織体制を決定し、3月には再編を完了する方針だ。現地メディアの報道によると、中央省庁の再編では、現在の18省8機関体制から、5省4機関を削減して13省4機関体制にする。また、各省の管轄下に計13ある総局のうち12総局を廃止し、全省庁で500の部局を削減する方針だという(VNエクスプレス2024年12月17日)。

 
具体的には、財政省と計画投資省、情報通信省と科学技術省、運輸省と建設省、天然資源環境省と農業農村開発省の統合、労働戦傷病兵社会問題省の解体と内務省・教育訓練省・保健省への業務移管などが検討されている。省庁再編を通じて各組織・機関の業務や役割を整理して明確化することは、中長期的なコスト削減や業務効率化につながるが、行政が一時的に機能不全に陥り、各種手続き・認可が遅れるなどの新たなリスクも危惧される。

ホーチミン市人民委員会本部 ホーチミン市人民委員会本部

直近の行政手続きには特に注意が必要

今回の省庁再編は組織を合理化し、行政の効率化を目指すためのものだが、国会の決定から新体制への移行期間が極めて短く、一時的には企業の行政手続きにも影響が出る可能性が高い。ベトナム日本商工会議所は実務への影響を懸念し、2024年12月にベトナム政府へ意見書を送付している。政府は企業活動には影響が出ないことを強調しているものの、一部の企業からは既に当局の許認可手続きに混乱が生じていると指摘する声もある。当面は、投資の申請や駐在員の労働許可取得などの各種手続きに通常より時間がかかることや、担当部署が変更されることなどに注意する必要がありそうだ。

[出所:JETROビジネス短信]

齊藤公(Saito Hiroshi)

Business Advisor
G.A. Consultants Vietnam Co., Ltd

大学卒業後に PHP 研究所に入社し、同社ニュー ヨーク事務所長を務めた後、中部日本放送(CBC) の関連会社で「名古屋港再開発プロジェクト」を 担当。その後拠点をアジアに移し、シンガポールで 「FM96.3」の開局や、ベトナムで「ハローベトナ ム」・「インベストアジア」の創刊を手掛け、ベトナム 最大規模のレンタル工場開発会社(BW Industrial Development JSC)で日系製造業の誘致を担当後、 現在はベトナム最古参の日系人事コンサルタント会社 「G.A. Consultants」にて、日系企業の進出コンサ ルタントとして活動。