Viet Nam
工業団地の状況
Text by Saito Hiroshi
第47回 ベトナム人幹部社員の離職率を防ぐ方策
1. 給与・報酬の最適化
- 市場水準の定期調査:ベトナムは転職市場が活発で、同業他社が+10〜20%の給与を提示するだけで転職するケースも多く、半年〜1年ごとに給与水準を見直すのが望ましい。
- 業績連動ボーナス:固定給だけでなく、成果や会社業績に応じたボーナス制度を導入。特に幹部層は「貢献と報酬の連動」を重視する。
- 福利厚生の充実:医療保険、家族手当、昼食補助、交通費などのサポートが意外と満足度を高める。
2.キャリアパスと成長機会の明確化
- 昇進の道筋を明確にする:多くの幹部社員は「将来の役職・評価基準」が不透明だと不安を感じる。
- トレーニング・海外研修:日本や他国での短期研修、マネジメント研修を設けると、ロイヤリティが上がる。
- ジョブローテーション制度:部門横断の経験を積ませることで、「長く働ける環境」と感じてもらいやすい。
3.上司・経営層とのコミュニケーション改善
- 日系企業特有の“距離感”を縮める:日本人上司が「指示型」「沈黙型」だと、幹部層は不満を持ちやすい。
- 1on1ミーティングを定期的に実施し、業務・キャリア・家族などを話せる関係を築く。
- 意見を聞き入れる文化:ベトナム人は自分の提案が採用されると非常にモチベーションが上がる。
4. 評価制度の透明化
- 定量+定性評価を組み合わせ、昇進・昇給がどう決まるかを明確にする。
- 不公平感の除去:同じ職位でも日本人とベトナム人で評価・待遇が極端に違うと不満の温床になる。
- 例)「日本人マネージャー ≒ ベトナム人副部長」なのに待遇差が大きい → 離職要因になる。
5. ロイヤリティ・エンゲージメントの醸成
- 「自分の会社」という意識を持たせるために、
- 表彰制度(Best Manager of the Yearなど)
- 社員旅行・チームビルディング
- 社内SNSや誕生日祝いなどの文化的イベント
を大切にする。



6. 役職・責任のバランス調整
- ベトナム人幹部が「名ばかりマネージャー」になっている場合、ストレスが蓄積する。
→ 権限委譲をしっかり行い、意思決定に関与できるようにする。 - 逆に、責任ばかり重くして報酬・サポートが少ない場合も離職リスクが高まる。
⚠️ よくある失敗例
- 日本人上司が「信頼するのに時間がかかる」として権限を渡さない
- 「日本流のやり方」を押し付ける
- 昇進ポストが日本人で埋まっている
- 問題が起きた時に責任をベトナム人に押し付ける
これらはすぐにSNSや社内に広まり、優秀層の離職を招く。
実践例(成功企業)
- 日系自動車部品メーカーA社:
- 幹部層に「将来の工場長候補研修」制度を導入
- 年1回の日本出張+家族同伴イベント実施
→ 幹部離職率 15% → 3%に改善
- 欧州系電機メーカーB社:
- KPI+ボーナス連動制度
- 定期1on1+昇進ロードマップ共有
→ 幹部満足度 80%超に上昇

齊藤公(Saito Hiroshi)
Business Advisor
G.A. Consultants Vietnam Co., Ltd
大学卒業後に PHP 研究所に入社し、同社ニュー ヨーク事務所長を務めた後、中部日本放送(CBC) の関連会社で「名古屋港再開発プロジェクト」を 担当。その後拠点をアジアに移し、シンガポールで 「FM96.3」の開局や、ベトナムで「ハローベトナ ム」・「インベストアジア」の創刊を手掛け、ベトナム 最大規模のレンタル工場開発会社(BW Industrial Development JSC)で日系製造業の誘致を担当後、 現在はベトナム最古参の日系人事コンサルタント会社 「G.A. Consultants」にて、日系企業の進出コンサ ルタントとして活動。





